情報ラボ > 著作権と知的財産
身近な場面で「この使い方はOK?」を考え、保護期間やライセンスのしくみを確かめます。
答えは、日本の著作権法と文化庁の資料にもとづく一般的な考え方です。実際の場面では、細かい事情で結論が変わることがあります。
計算は日本の著作権法(第51条〜第54条、第57条)によります。外国の著作物の一部には「戦時加算」という例外があり、もっと長く保護されることがあります。また、旧著作権法の時代(1970年以前)の作品は、旧法の期間も調べる必要があります。このツールの結果は目安です。
「改変禁止(ND)」と「継承(SA)」は同時には選べません。改変を認めないなら、改変した作品のライセンスを決める必要がないからです。
左ほど使う人の自由が大きく、右ほど作者が多くの権利を残します。CC0 は作者が権利を手放してパブリック・ドメインに近い状態にするしくみで、CCライセンス(6種類)とは別の道具です。
| 権利 | 守るもの | 手続き | 保護期間 |
|---|---|---|---|
| 著作権 | 著作物(思想・感情の創作的な表現) | 不要(創作した時点で自動的に生まれる=無方式主義) | 原則として著作者の死後70年 |
| 特許権 | 発明(高度な技術的アイデア) | 特許庁に出願し、審査を経て登録 | 出願から20年 |
| 実用新案権 | 物品の形状・構造などの考案 | 特許庁に出願して登録 | 出願から10年 |
| 意匠権 | 物品・建築物・画像のデザイン | 特許庁に出願し、審査を経て登録 | 出願から25年 |
| 商標権 | 商品・サービスに使うマーク(名前・ロゴなど) | 特許庁に出願し、審査を経て登録 | 登録から10年(更新できる) |
保護期間は文化庁「令和8年度著作権テキスト」の「知的財産権について」の図による。特許・実用新案・意匠・商標をまとめて「産業財産権」といいます。
知的な創作活動によって何かを生み出した人に与えられる、「他人に無断で利用されない権利」を知的財産権といいます。小説や音楽、写真などを守る著作権と、発明やデザイン、商品のマークなどを守る産業財産権(特許権・実用新案権・意匠権・商標権)が代表的です。
大きなちがいは、権利の生まれ方です。産業財産権は、特許庁に出願して登録されてはじめて権利になります。一方、著作権は、作品を創作した時点で自動的に生まれ、登録などの手続きは一切いりません。これを無方式主義といい、国際的なルールになっています。だから、高校生が書いた作文や描いた絵、撮った写真にも、書き上げた瞬間から著作権があります。
著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定めています(第2条第1項第1号)。例として、小説・論文などの言語、音楽、舞踊、絵画などの美術、建築、地図や図表、映画、写真、プログラムが挙げられています(第10条)。
反対に、次のようなものは著作物になりません。
また、憲法や法律、国や地方公共団体の告示・通達、裁判所の判決などは、著作物であっても権利の対象になりません(第13条)。だれもが自由に使えるようにするためです。
著作者には、心を守る著作者人格権と、財産を守る著作権(財産権)の2つが与えられます(第17条)。
| 種類 | 権利 | 内容 |
|---|---|---|
| 著作者人格権 | 公表権(第18条) | まだ公表していない作品を、公表するかどうか、いつどのように公表するかを決める |
| 氏名表示権(第19条) | 名前を出すか、どんな名前で出すかを決める | |
| 同一性保持権(第20条) | 意に反して作品や題名を変えられない | |
| 著作権(財産権) | 複製権(第21条) | コピー(印刷・録音・録画・保存など)する |
| 上演権・演奏権(第22条)、上映権(第22条の2) | 人前で演じる・演奏する・上映する | |
| 公衆送信権(第23条) | 放送したり、インターネットで公開したりする | |
| 口述権・展示権(第24条・第25条) | 朗読する、美術作品などの原作品を展示する | |
| 頒布権・譲渡権・貸与権(第26条〜第26条の3) | コピーを売ったり、配ったり、貸したりする | |
| 翻訳権・翻案権など(第27条・第28条) | 翻訳・編曲・映画化などの改変をする、改変してできた作品を利用する |
他人の著作物をこれらの方法で使うときは、原則として著作権者の許諾が必要です。無断で使うと著作権の侵害になり、使用の差し止めや損害賠償を求められることがあるほか、刑事罰(10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金、またはその両方)の対象にもなります(第119条第1項)。
著作権は、作品を創作した時に始まり、原則として著作者の死後70年まで続きます(第51条)。無名・変名の著作物と団体名義の著作物、映画の著作物は、公表後70年までです(第52条〜第54条)。計算を簡単にするため、期間は死亡や公表をした年の翌年の1月1日から数えます(第57条)。たとえば1989年に亡くなった人の作品は、1990年1月1日から数えて70年後の2059年12月31日まで保護されます。
日本の保護期間は、以前は原則として死後50年でしたが、2018年12月30日に70年へ延びました。ただし、一度切れた保護を後から復活させることはしないので、延びたのは、その時点でまだ保護期間が残っていた作品だけです。そのため、1967年までに亡くなった人の作品は、原則として2017年末で保護期間が終わっています。1968年に亡くなった人の作品は、2018年末で切れるはずでしたが、改正で2038年末まで延びました。「保護期間を計算」で確かめてみましょう。
保護期間が終わった作品は、だれでも自由に使えるようになります(パブリック・ドメイン)。ただし、著作者が亡くなった後でも、生きていれば人格権の侵害になるような改変などをしてはいけません(第60条)。
著作権が強すぎると、文化の発展や教育の妨げになります。そこで著作権法は、一定の条件を満たせば許諾なしで使える場合を定めています。主なものは次のとおりです。条件を1つでも満たさなければ、例外は使えません。
レポートや発表資料で他人の文章や図を使うときに、いちばん関係するのが引用です。文化庁の資料では、主に次の条件が示されています。
自分の文章がほとんどなく、他人の文章を大部分そのまま載せたものは、引用とはいえません。
第35条により、先生や生徒は、授業のために必要な範囲で、公表された著作物をコピーして配ることができます。2018年の法改正により、オンライン授業や予習・復習用の資料の送信など、インターネットを通じた送信(公衆送信)も、許諾なしで行えるようになりました。その代わりに、学校の設置者は、文化庁長官が指定した団体(授業目的公衆送信補償金等管理協会、SARTRAS)に補償金を支払います。この制度は2020年4月に始まりました。ただし、ドリルのように生徒が買うことを想定して売られているものをコピーするなど、著作権者の利益を不当に害する使い方は認められません。
著作権を侵害してインターネットにアップロードされた音楽や映像を、違法なものだと知りながらダウンロードすることは、自分で楽しむためでも違法です(第30条第1項第3号)。2021年1月1日からは、漫画・書籍・論文・プログラムなど、すべての著作物に対象が広がりました(第30条第1項第4号)。
ただし、正当な情報収集までためらわれることがないように、違法だと知らずにダウンロードした場合は対象外とされ、スクリーンショットへの写り込み、漫画の1コマ〜数コマなどの軽微なもの、二次創作・パロディなども除かれています。正規版が有償で提供されているものを、違法と知りながらダウンロードした場合は、刑事罰(2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金、またはその両方)の対象になります。音楽・映像以外の著作物では、継続的に、または繰り返し行った場合に限られます(第119条第3項)。
写真や動画を扱うときは、著作権だけでなく、写っている人の権利にも気をつける必要があります。自分の顔や姿をみだりに撮影・公開されない権利を肖像権、有名人の氏名や肖像が持つお客を引きつける力(顧客吸引力)を守る権利をパブリシティ権といいます。日本では、これらの権利を定めた法律はなく、裁判の判例によって認められてきた権利です。友だちの写る写真をSNSに載せるときは、本人の了解を得るようにしましょう。
産業財産権は、産業の発展のために、新しい技術やデザイン、ブランドを守る権利です。特許庁に出願して登録すると、一定の期間、独占して使えます。
著作権が「表現」を守るのに対して、特許権は「アイデア」を守ります。たとえば薬の作り方に特許があるとき、その方法で薬を作って売るのは特許権の問題で、作り方を書いた論文をコピーするのは著作権の問題です。
情報Ⅰ 授業の進め方ガイドでは、この教材を次の授業で使います。ねらい・導入の問い・50分の流れ・確認問題をまとめています。