ラスタとベクタのちがいを体験しよう

画像の記録のしかたには2つの方式があります。拡大すると、その差がはっきり見えます。

1 倍
絵を選ぶ 元の画素数
拡大したあと、画像をドラッグすると見る場所を動かせます。左右は同じ場所を映します。

ラスタ画像(点の集まり)

ベクタ画像(計算で描く)

形は「座標と数式」で記録されているので、拡大するときに描き直されます。何倍にしてもなめらかなままです。

画素数を減らすと、どこまで分かるか

同じ絵を、いろいろな画素数で表示しています。どこまで減らすと分からなくなるでしょうか。

解像度という言葉は、2つの意味で使われます

① 画素の総数

「横1920×縦1080」のように、点が何個並んでいるかを表します。カメラの「1200万画素」もこれです。画像の大きさの話です。

② 点の密度(dpi・ppi)

1インチ(2.54cm)の中に点が何個入るかを表します。きめ細かさの話です。同じ画像でも、大きく印刷すれば密度は下がります。

dpi と ppi のちがい どちらも「1インチあたりの点の数」で、考え方は同じです。 印刷はインクの点なので dpi(dots per inch)、画面は画素なので ppi(pixels per inch)と呼び分けています。

どちらを使うかは、目的で決まります

ラスタ画像ベクタ画像
記録のしかた 画素を1つずつ、色の数値で記録 点の座標と、線や面の計算式で記録
拡大したとき ギザギザになる(ジャギー) なめらかなまま
得意なもの 写真、複雑な色合いの絵 ロゴ、イラスト、図面、文字
苦手なもの 拡大、あとからの形の修正 写真のような複雑な階調
データ量 画素数×ビット数で決まる
(絵の内容によらない)
形の複雑さで決まる
(単純な図形なら小さい)
主な形式 JPEG、PNG、GIF、BMP SVG、AI、EPS、PDF
ソフトの例 ペイント、Photoshop Google図形描画、Illustrator

写真をベクタで表すことも技術的には可能ですが、色の変化が複雑すぎて現実的ではありません。逆にロゴをラスタで作ると、看板サイズに引き伸ばしたときに粗くなります。

画像を記録する2つの方法

コンピュータで画像を扱うとき、記録のしかたには大きく2つの方式があります。ラスタ形式とベクタ形式です。同じ絵に見えても、中身の持ち方がまったく違います。

ラスタ形式(ビットマップ形式)

画像を細かい格子に区切り、1マスずつ色を数値で記録する方式です。デジタルカメラで撮った写真も、スキャナで読み取った画像も、すべてこの形式です。

この方式では、記録されているのは「どの位置が何色か」という情報だけです。そこに何が描かれているかをコンピュータは知りません。りんごの絵も、ただの色の数値の並びとして扱われます。

ベクタ形式

点の座標と、それらを結ぶ線や面の情報を、数式として記録する方式です。たとえば円なら「中心の座標が(100, 100)、半径50、塗りは赤」という具合に、描き方の指示として持っています。

画面に表示するときは、その指示にしたがってその場で描き直します。拡大するときも、大きなサイズで計算し直すので、輪郭はなめらかなままです。

拡大したときの差

この違いが最もはっきり出るのが、拡大したときです。

ラスタ画像を拡大するとき、コンピュータは元にない情報を作り出せません。1つの画素を4倍に引き伸ばせば、同じ色の大きな四角になるだけです。斜めの線や曲線の輪郭が階段状にギザギザになる現象を、ジャギーと呼びます。

一方ベクタ画像は、拡大されると「半径50の円」を「半径200の円」として描き直します。もとの指示から計算し直すので、何倍にしてもなめらかです。上のツールで拡大率を上げていくと、この差が一目で分かります。

解像度という言葉

解像度という言葉は、文脈によって2つの異なる意味で使われます。混同されやすいところです。

画素の総数としての解像度

「横1920×縦1080」のように、画像が何個の点でできているかを表します。デジタルカメラの「1200万画素」も、横と縦の画素数を掛けた総数です。これは画像の大きさを表す数値です。

密度としての解像度(dpi・ppi)

1インチ(2.54センチメートル)の中に点が何個並んでいるかを表します。こちらはきめ細かさを表す数値です。

単位正式名称使う場面
dpidots per inchプリンタ、印刷(インクの点)
ppipixels per inchディスプレイ(画素)

考え方はどちらも同じで、対象が印刷のインクか画面の画素かで呼び分けているだけです。iPadのディスプレイが264ppiというのは、1インチの中に264個の画素が並んでいるという意味です。

注意したいのは、密度は表示する大きさによって変わるという点です。同じ1920×1080の画像でも、小さく印刷すれば密度は高く、大きく引き伸ばせば密度は下がって粗く見えます。総数と密度は別の指標です。

印刷したときの大きさ(インチ) = 画素数 ÷ dpi

たとえば横1200画素の画像を300dpiで印刷すると、1200 ÷ 300 = 4インチ(約10cm)になります。もっと大きく印刷したければ、画素数を増やすか、密度を下げて粗さを受け入れるかのどちらかです。

使い分けの考え方

ラスタとベクタは優劣ではなく、向き不向きで選びます。

ペイントソフトで描いた絵はラスタ、Google図形描画やIllustratorで描いた図はベクタです。同じ「絵を描くソフト」でも、中身の持ち方が違うことを知っておくと、目的に合った道具を選べます。

データ量の考え方も違う

2つの方式は、データ量の決まり方も異なります。

ラスタ画像のデータ量は、画素数と1画素あたりのビット数だけで決まります。真っ白な画像でも、複雑な風景写真でも、同じ画素数なら同じ大きさです(圧縮しない場合)。描かれている内容には関係しません。

ラスタ:データ量 = 縦の画素数 × 横の画素数 × 1画素あたりのビット数

ベクタ画像は、形の複雑さで決まります。円が1つだけなら、記録する情報は中心の座標と半径と色だけなので、ごく小さなデータで済みます。しかし細かい曲線が何千本もある絵になると、その分だけ大きくなります。

そのため、単純な図形やロゴではベクタのほうが圧倒的に小さく、写真のような複雑な絵ではラスタのほうが現実的、という使い分けになります。

拡大したときの補間

実際の画像編集ソフトでラスタ画像を拡大すると、上のツールほど極端なギザギザにはなりません。周囲の画素の色から中間の色を推測して埋める、補間という処理が行われるためです。

補間を使うと輪郭のギザギザは目立たなくなりますが、代わりに全体がぼやけます。もともとない情報を作り出しているだけなので、失われた細部が戻るわけではありません。上のツールでは、しくみを分かりやすく示すために補間をあえて行っていません。

使い方

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