電子メールのしくみを体験しよう

送信ボタンを押してから相手に届くまで、メールはどこを通っているのでしょうか。

メールアドレスの読み方

tanaka
ユーザー名(誰か)
@
 
example.ne.jp
ドメイン名(どこか)

@の後ろが、どのメールサーバーに届けるかを示しています。郵便でいえば住所、@の前が宛名にあたります。

登場するもの

メールソフトメールを書いたり読んだりするアプリ。スマホのメールアプリやWebメールもこれにあたります
送信サーバー受け取ったメールを、相手のサーバーへ転送します(SMTPサーバー)
受信サーバー届いたメールを保管しておきます。受信者が取りに来るまで預かります
DNSドメイン名から、どのサーバーに送ればよいかを調べます

受信の方式には2種類あります

比べてみましょう

POPIMAP
メールの置き場所 自分の機器にダウンロード サーバーに置いたまま
複数の機器で見る 同じメールを見られないことがある どの機器でも同じ状態
既読や振り分けの同期 同期されない すべての機器で同期
サーバーの容量 あまり使わない たくさん使う
ネットがないとき ダウンロード済みなら読める 基本は接続が必要

スマホとパソコンの両方でメールを見るのが当たり前になったため、いまはIMAPが主流です。

差出人は、書きかえられます

メールのヘッダには、届くまでの経路が記録されています。見比べてみましょう。

メールヘッダ(ふだんは隠れている部分)

なりすましを防ぐしくみ

SPFそのドメインのメールを送ってよいサーバーの一覧を、DNSに登録しておく方式です。一覧にないサーバーから来たら怪しいと判断できます
DKIM送信側が電子署名を付け、受信側が正しさを確かめる方式です。途中で書きかえられていないことも確認できます
DMARCSPFとDKIMの結果をもとに、不正なメールをどう扱うか(拒否する、隔離するなど)を決める方式です

これらは受信側で自動的に判定されます。迷惑メールフォルダに振り分けられるのは、こうした検査の結果です。

メールアドレスの構造

メールアドレスは、@(アットマーク)で2つに分かれています。

tanaka @ example.ne.jp
 ↑ユーザー名   ↑ドメイン名

後ろのドメイン名が、どの組織のメールサーバーに届けるかを示します。前のユーザー名は、そのサーバーの中で誰宛かを示します。郵便でいえば、ドメイン名が住所、ユーザー名が宛名にあたります。

メールが届くまで

送信ボタンを押してから相手に届くまで、メールはいくつかの場所を経由します。

  1. メールソフトから送信サーバーへ:書いたメールを、自分が契約しているサーバーに預けます
  2. DNSで宛先を調べる:@の後ろのドメイン名から、相手のサーバーの場所を問い合わせます
  3. サーバーからサーバーへ転送:相手のメールサーバーへ送り届けます
  4. 受信サーバーで保管:相手が取りに来るまで、サーバーが預かります
  5. 受信者が取り出す:メールソフトを開いたとき、サーバーから受け取ります

ここで重要なのは、相手のパソコンに直接届くわけではないという点です。いったんサーバーに預けられ、相手が受け取りに来るのを待ちます。相手の電源が入っていなくても送れるのは、このためです。

プロトコル ― 役割ごとの決まりごと

それぞれの場面で、異なるプロトコルが使われます。

プロトコル読み方役割
SMTPエスエムティーピーメールを送る(メールソフト→サーバー、サーバー→サーバー)
POPポップメールを受け取る(ダウンロードする方式)
IMAPアイマップメールを受け取る(サーバーに置いたまま見る方式)

整理すると、送るときはSMTP、受け取るときはPOPかIMAPです。送信と受信で別のプロトコルを使うのが、メールの特徴です。

POPとIMAPの違い

どちらもメールを受け取るための方式ですが、考え方が違います。

POPは、サーバーからメールを自分の機器にダウンロードします。郵便受けから手紙を持ち帰るイメージです。持ち帰った後は自分の手元にあるので、ネットがなくても読めます。ただし、別の機器からは見られません。

IMAPは、メールをサーバーに置いたまま見ます。既読にしたり、フォルダに振り分けたりした結果も、サーバー側に記録されます。そのため、スマホで読んだメールはパソコンでも既読になっています。

スマホとパソコンを両方使うのが当たり前になった現在、IMAPが主流です。ただしサーバーの容量を使うため、古いメールの整理は必要になります。

差出人は信用できない

メールの仕組みには、設計上の弱点があります。差出人(From)は自由に書けるのです。

これは、封筒に自分で好きな差出人を書けるのと同じです。郵便局は差出人が本物かを確認しません。メールも同様に、もともと本人確認をする仕組みがありませんでした。

この弱点を突いたのが、フィッシングメールやなりすましメールです。銀行や大手企業の名前で送られてきても、それだけでは本物と判断できません。

手がかりはヘッダにある

メールには、ふだん見えていない情報が付いています。これをヘッダといい、届くまでに経由したサーバーの記録が残っています。

Received という行に、経由したサーバーが順に記録されます。差出人が銀行を名乗っているのに、まったく無関係なサーバーを経由していれば、なりすましの可能性が高いと判断できます。上のツールで、正しいメールとなりすましメールのヘッダを見比べられます。

技術的な対策

なりすましを防ぐため、3つの仕組みが使われています。

これらは受信側で自動的に判定され、結果に応じて迷惑メールフォルダに振り分けられます。ただし完璧ではないため、利用者側の注意も必要です。

宛先の3つの欄

欄意味他の受信者から見えるか
To主な宛先。返信を期待する相手見える
Cc参考として共有したい相手見える
Bcc他の人に知られずに送りたい相手見えない

Bccは Blind Carbon Copy の略で、他の受信者にはアドレスが表示されません。多数の人に一斉送信するとき、Toに全員を入れると全員のアドレスが互いに見えてしまいます。これは個人情報の漏えいにあたり、実際に事故として報道されることが繰り返し起きています。

一斉送信のときはBccを使う。この習慣を身につけておくことが大切です。

添付ファイルのしくみ

メールはもともと、英数字の文字だけを送る仕組みとして作られました。画像や日本語をそのまま送ることはできません。

そこで使われるのがMIMEという規格です。画像などのデータを、いったん英数字の並びに変換して送り、受信側で元に戻します。この変換をBase64といいます。

ただし、この変換でデータ量は約1.33倍に増えます。3バイトのデータが4文字になるためです。「3MBの画像を添付したのに、送信サイズが4MBになる」のはこのためです。

多くのメールサーバーには、25MB程度の送信上限があります。大きなファイルを送りたいときは、クラウドストレージに置いてリンクを共有するほうが確実です。

メールの暗号化

メールの内容は、そのままでは経路上で読まれる可能性があります。そこで通信を暗号化します。

メールソフトとサーバーの間では、SMTPS・POP3S・IMAPSといった暗号化された通信が使われます。サーバーどうしの転送でも、STARTTLSという仕組みで暗号化されるのが一般的になりました。

ただし、これは経路の暗号化にすぎません。サーバー上ではメールは平文で保管されています。内容そのものを守りたい場合は、S/MIMEやPGPといった、送信者と受信者の間だけで暗号化する方法が必要です。

使い方

© 2026 情報ラボ ホーム カリキュラム対応表 画像のデジタル化 音のデジタル化 ラスタとベクタ 画像のビット演算 色の表し方 2進数・16進数 文字コード データはすべて0と1 パリティマジック コンピュータのしくみ 論理回路 アルゴリズム ネットワークのしくみ 電子メールのしくみ 情報システムとデータの流れ シミュレーション データの分析 機械学習 回帰と予測 クラスタリング 統計的推測 パスワードの強さ 暗号のしくみ あやしいメールを見分ける データ量の計算 データ圧縮 JPEGのくり返し保存 運営者情報・お問い合わせ プライバシーポリシー 更新履歴