パスワードの強さを体験しよう

文字を1つ増やすだけで、破るのにかかる時間はどれだけ変わるのでしょうか。

8 文字

使う文字の種類

1文字に使える文字が何種類あるかで、組み合わせの数が決まります。

破られるまでにかかる時間(弱い保存方式の場合)
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1文字あたりの種類
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組み合わせの数
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強い保存方式なら
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計算のしかた

よくある例で試す

最後の例は「英小文字だけでも長ければ強い」ことを示しています。覚えやすい言葉をつなげる方法(パスフレーズ)の考え方です。

文字数と種類による解読時間の一覧

高性能なGPU(GeForce RTX 4090)1台で、MD5という古い方式で保存されたパスワードを 総当たりで破る場合の目安です。実際の時間は保存方式や機器によって大きく変わります。

参考:Hive Systems「Password Table」(2024年)/NVIDIA RTX 4090 での測定値をもとに算出

読み取れること

  • 文字を1つ増やすと、時間は文字種類の数だけ倍になります(英小文字なら26倍)。
  • 種類を増やすより、長くするほうが効果が大きい場合が多くあります。
  • 8文字はもはや安全とはいえません。12文字以上が目安です。

同じパスワードを使い回すと、何が起きるか

「通販サイトから流出させる」を押すと、何が起きるか分かります。

この攻撃には名前があります

流出したIDとパスワードの組を、別のサービスで次々と試す攻撃を パスワードリスト攻撃(クレデンシャルスタッフィング)といいます。 1か所でも漏れると、使い回している他のサービスがすべて危険にさらされます。 パスワードそのものの強さとは関係なく成立してしまうのが、この攻撃の厄介なところです。

パスワードはどうやって破られるのか

攻撃者がパスワードを手に入れる方法はいくつかあります。代表的なのが総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)です。考えられるすべての組み合わせを、片端から試していく方法です。

単純な方法ですが、コンピュータの速さがあれば十分に成立します。特にGPU(画像処理用の高性能な部品)は、同じ計算を並行して大量にこなせるため、この種の攻撃に向いています。

組み合わせの数

パスワードの組み合わせの数は、次の式で求められます。

組み合わせの数 = (1文字に使える文字の種類)文字数

数字だけの4桁なら、10の4乗で1万通りです。英小文字と数字を使った8文字なら、36の8乗で約2兆8000億通りになります。数字が急激に増えるのは、文字数が指数の位置にあるからです。

ここが重要な点です。文字の種類を増やすより、文字数を増やすほうが効きます。 種類を2倍にしても組み合わせは2倍にしかなりませんが、文字を1つ増やすと種類の数だけ倍になります。

保存方式によって時間が桁違いに変わる

サービス側は、パスワードをそのままの形では保存しません。ハッシュ関数という計算で変換した値を保存します。もとに戻せない一方向の計算なので、流出しても直接は使えません。

ただし、どのハッシュ関数を使うかで安全性が大きく変わります。

方式特徴8文字(全種類)の解読時間
MD5計算が速い。古い方式で、現在は推奨されない約1時間
bcryptわざと時間がかかるよう設計されている約99年

出典:Hive Systems の調査(GeForce RTX 4090 を使用した場合の最長時間)

同じパスワードでも、保存方式が違うだけで1時間と99年という差が出ます。利用者側からは選べない部分ですが、サービスを作る側にとっては重大な設計判断です。

使い回しがなぜ危険なのか

どれだけ強いパスワードを作っても、使い回していると意味が薄れます。1つのサービスから流出すれば、同じ組み合わせを他のサービスで試されるからです。

この攻撃をパスワードリスト攻撃(クレデンシャルスタッフィング)といいます。攻撃者は流出したIDとパスワードの一覧を手に入れ、自動化した仕組みで他のサービスに次々ログインを試みます。パスワードの強さは関係ありません。正解を知っているのですから。

実際、確認された情報漏えいのうち相当な割合が、盗まれた認証情報を入口としています。強いパスワードを1つ作って使い回すより、そこそこの強さでもサービスごとに変えるほうが安全です。

では、どうすればよいか

長くする

覚えやすさと強さを両立させる方法として、単語をつなげるパスフレーズがあります。無関係な単語を4つほどつなげると、20文字前後になり、総当たりでは現実的に破れません。「正しい 馬 電池 ホッチキス」のような、意味のつながらない組み合わせが有効です。

使い回さない

すべてを記憶するのは無理なので、パスワード管理ソフト(パスワードマネージャー)を使うのが現実的です。1つのマスターパスワードだけ覚えれば、残りは自動で管理されます。ブラウザに内蔵されているものでも構いません。

二段階認証を使う

パスワードに加えて、スマートフォンに届く確認コードなどを組み合わせる方法です。パスワードが漏れても、それだけではログインできなくなります。

パスキーに移行する

そもそもパスワードを使わない方法もあります。パスキーは、端末の中の秘密鍵で本人確認を行う仕組みです。パスワードのように「合言葉を相手に渡す」必要がないため、流出も使い回しも原理的に起こりません。

Apple、Google、Microsoftが共通の標準として進めており、対応するサービスも増えています。パスワードの限界を根本から解決する方向として注目されています。

NISTの考え方の変化

かつては「大文字・小文字・数字・記号をすべて混ぜること」「90日ごとに変更すること」が推奨されていました。しかし現在では、この考え方は見直されています。

アメリカ国立標準技術研究所(NIST)が示した指針では、複雑さを強制するより長さを重視すること、定期的な変更を強制しないことが推奨されています。理由は単純で、複雑さを求めすぎると利用者が覚えられず、紙に書いたり単純な変形(Password1 → Password2)を繰り返したりして、かえって弱くなるからです。

大切なのは、無理なく続けられる方法を選ぶことです。長いパスフレーズと管理ソフトの組み合わせは、この観点からも理にかなっています。

よく使われるパスワードは避ける

総当たり攻撃の前に、攻撃者はまず「よくあるパスワードの一覧」を試します。これを辞書攻撃といいます。

毎年公開される調査では、「123456」「password」「qwerty」といった単純な文字列が上位を占め続けています。誕生日、名前、電話番号なども同様です。どれだけ文字数が多くても、一覧に載っている組み合わせなら一瞬で破られます。

上のツールで計算される時間は、あくまで「完全にランダムな文字列」を総当たりする場合の値です。意味のある単語をそのまま使っている場合は、この計算より遥かに早く破られると考えてください。

注意していただきたいこと

このページのツールに、実際に使っているパスワードを入力する必要はありません。文字数と種類を選ぶだけで計算できるようにしてあります。一般に、自分のパスワードを診断サイトなどに入力するのは避けるべきです。

使い方

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