RFID(電子タグ)のしくみを体験しよう

電波でタグを読む技術です。見えなくても、まとめて読めるしくみを動かして確かめます。

かごの商品を、バーコードとRFIDで読み取ります

8 点

時間はモデルの仮定です。バーコードは1点ごとに向きを合わせて読むので1点 約2秒、袋から出す場合は さらに3秒。RFIDは1回の読み取りを約1秒としています。4倍速で再生します。

バーコード

光で読む。見える向きにして、1点ずつ

0.0 秒

RFID

電波で読む。かごごと、まとめて

0.0 秒
「レジに通す」を押してください
同じ商品を、左はバーコード、右はRFIDで同時に読み取ります。

たくさんのタグが同時に返事をすると、電波が重なって読めません(衝突)。返事をする順番を乱数でずらして読み分けます

12 個
Q=3(8スロット)

ラウンド 1:各タグがスロットを選びました

1個だけ → 読める2個以上 → 衝突0個 → 空き

タグ(数字は選んだスロット)

ラウンド
1
使ったスロット
0
読めたタグ
0
衝突
0
空き
0
効率(読めた÷スロット)
–

1ラウンドの効率(理論値)とQの関係

理論値は、N個のタグがL個のスロットから1つずつ選んだとき、1つのスロットに ちょうど1個だけ入る割合です。スロットの数がタグの数に近いときに最も高くなります。

電池のないタグは、リーダの電波から電力をもらって動きます。どこまで離れても動くでしょうか

−24 dBm
5.0 m
タグが受け取る電力
–
計算した読み取り距離の上限
–
波長(920.5 MHz)
0.326 m
実際の目安(総務省資料)
約 10 m

距離とタグが受け取る電力(dBm)

計算は、障害物や反射がない空間で、タグのアンテナ利得を 2.15 dBi(半波長ダイポール)、ICチップとアンテナの整合を完全(τ=1)とした理論上の値です。実際には、タグの向き、周りの金属・水・人体、反射波の重なりで短くなります。

RFIDとは

RFID(Radio Frequency Identification)は、電波を使って、ICチップに記録されたデータを触れずに読み書きする自動認識技術です。日本では電子タグ、ICタグ、RFタグとも呼ばれます。ICチップと小さなアンテナからなるタグと、電波を送受信するリーダ(リーダライタ)でできています。

タグが返すのは、主に1枚ずつ違う識別番号(ID)です。商品名や値段などの詳しい情報は、そのIDをもとに、店や倉庫のデータベースから取り出します。洋服の値札、図書館の本、物流の箱や台車など、身の回りで使われる場面が増えています。

バーコードやQRコードとのちがい

バーコード・QRコードRFID
読み取りに使うもの光(見えないと読めない)電波(箱や袋の中でも読める)
一度に読める数1つずつまとめて読める
汚れ汚れると読みにくい表面の汚れに強い
書きかえできないできる
1枚あたりの費用印刷するだけタグの代金がかかる

RFIDにも苦手なものがあります。金属はどの周波数帯でも影響が大きく、よく使われるUHF帯では水の影響も大きく受けます。「バーコードとくらべる」で、飲み物や金属の缶を入れて確かめてください。

電池がなくても動くしくみ

商品や本に貼るタグの多くは、電池を持たないパッシブタグです。リーダが出す電波(搬送波)をアンテナで受け取り、その電力でICチップを動かします。電池を持ち、自分で電波を出すアクティブタグもありますが、高価で大きくなります。

電力の受け取り方は、使う周波数によって2通りあります。

周波数帯方式最大通信距離の目安
LF(135 kHz帯)電磁誘導方式約30 cm
HF(13.56 MHz)電磁誘導方式約60 cm
UHF(日本では920 MHz帯)電波方式約10 m(パッシブ)
マイクロ波(2.45 GHz)電波方式約1 m

電磁誘導方式では、リーダのコイルに流した電流が磁界をつくり、近づけたタグのコイルに電流が生まれます。磁界は距離が離れると急に弱くなるので、かざして使う用途に向いています。電波方式では、タグのアンテナが電波を受け取って電力に変えます。数メートル離れていても読めるので、商品の一括読み取りや倉庫の管理に使われます。

タグは「反射のしかた」で返事をする

パッシブタグは自分で電波を出せません。そこで、リーダが送り続けている電波のはね返し方を変えて返事をします。ICチップの中の電気の通りやすさ(インピーダンス)を2つの状態で切りかえると、反射する電波の強さが変わります。リーダはその変化を0と1として読み取ります。これをバックスキャッタ(後方散乱)といいます。

電波が届く距離を計算する

タグが受け取る電力は、距離の2乗に反比例して小さくなります。タグが動くのに必要な電力(読み取り感度)と等しくなる距離が、読み取り距離の上限です。

読み取り距離 r =(λ ÷ 4π)× √(リーダの放射電力 × タグのアンテナ利得 × τ ÷ タグが動くのに必要な電力)

λは波長、τはICチップとアンテナの整合の度合い(0〜1)です。日本のUHF帯では、構内無線局はリーダの放射電力(EIRP)が最大36 dBm(約4 W)、特定小電力無線局は27 dBm(約0.5 W)と決められています。最近のICチップは、−24 dBm(約4 μW、100万分の4ワット)ほどの電力で動きます。

この式で計算すると、構内無線局では約33 m、特定小電力では約12 mになります。ただしこれは、障害物も反射もない理想的な場合の上限です。実際には、タグの向き、周りの金属・水・人体、壁や床からの反射波の重なりで短くなり、総務省の資料では最大通信距離の目安を約10 mとしています。「電波が届く距離」で、条件を変えながら確かめてください。

たくさんのタグを読み分けるしくみ

かごの中の10個のタグが、リーダの呼びかけに一斉に返事をすると、電波が重なって1つも読めません。これを衝突といいます。UHF帯のRFIDの国際的な規格(EPC Gen2)では、次のような手順で読み分けます。

  1. リーダが「Q」という数を送る
  2. 各タグは、0〜2Q−1 の中から乱数で自分の番(スロット)を選ぶ
  3. リーダが番号を1つずつ進め、自分の番になったタグだけが返事をする
  4. 1つのスロットにタグが1個だけなら読める。2個以上なら衝突して読めないので、次のラウンドで選び直す

スロットが少なすぎると衝突ばかりになり、多すぎると空きばかりになります。N個のタグがL個のスロットから選ぶとき、1つのスロットにちょうど1個だけ入る割合は、次の式で表されます。

効率 S =(N ÷ L)×(1 − 1 ÷ L)N−1

この効率は、スロットの数をタグの数とほぼ同じにしたときに最も高くなり、タグが多いときには約37%(1/e)に近づきます。規格では、リーダが空きや衝突の数を見ながら Q を調整できるようになっています。「読み分けのしくみ」で、Q を変えて確かめてください。

どこで使われているか

一方で、タグ1枚ごとに費用がかかります。2017年に経済産業省とコンビニ大手5社がまとめた「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」では、全商品にタグを付ける条件の1つを「タグの単価が1円以下になること」としていました。便利さと費用の両方を考えて、バーコードとRFIDは使い分けられています。

使い方

出典

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