情報ラボ > RFID(電子タグ)
電波でタグを読む技術です。見えなくても、まとめて読めるしくみを動かして確かめます。
時間はモデルの仮定です。バーコードは1点ごとに向きを合わせて読むので1点 約2秒、袋から出す場合は さらに3秒。RFIDは1回の読み取りを約1秒としています。4倍速で再生します。
光で読む。見える向きにして、1点ずつ
電波で読む。かごごと、まとめて
理論値は、N個のタグがL個のスロットから1つずつ選んだとき、1つのスロットに ちょうど1個だけ入る割合です。スロットの数がタグの数に近いときに最も高くなります。
計算は、障害物や反射がない空間で、タグのアンテナ利得を 2.15 dBi(半波長ダイポール)、ICチップとアンテナの整合を完全(τ=1)とした理論上の値です。実際には、タグの向き、周りの金属・水・人体、反射波の重なりで短くなります。
RFID(Radio Frequency Identification)は、電波を使って、ICチップに記録されたデータを触れずに読み書きする自動認識技術です。日本では電子タグ、ICタグ、RFタグとも呼ばれます。ICチップと小さなアンテナからなるタグと、電波を送受信するリーダ(リーダライタ)でできています。
タグが返すのは、主に1枚ずつ違う識別番号(ID)です。商品名や値段などの詳しい情報は、そのIDをもとに、店や倉庫のデータベースから取り出します。洋服の値札、図書館の本、物流の箱や台車など、身の回りで使われる場面が増えています。
| バーコード・QRコード | RFID | |
|---|---|---|
| 読み取りに使うもの | 光(見えないと読めない) | 電波(箱や袋の中でも読める) |
| 一度に読める数 | 1つずつ | まとめて読める |
| 汚れ | 汚れると読みにくい | 表面の汚れに強い |
| 書きかえ | できない | できる |
| 1枚あたりの費用 | 印刷するだけ | タグの代金がかかる |
RFIDにも苦手なものがあります。金属はどの周波数帯でも影響が大きく、よく使われるUHF帯では水の影響も大きく受けます。「バーコードとくらべる」で、飲み物や金属の缶を入れて確かめてください。
商品や本に貼るタグの多くは、電池を持たないパッシブタグです。リーダが出す電波(搬送波)をアンテナで受け取り、その電力でICチップを動かします。電池を持ち、自分で電波を出すアクティブタグもありますが、高価で大きくなります。
電力の受け取り方は、使う周波数によって2通りあります。
| 周波数帯 | 方式 | 最大通信距離の目安 |
|---|---|---|
| LF(135 kHz帯) | 電磁誘導方式 | 約30 cm |
| HF(13.56 MHz) | 電磁誘導方式 | 約60 cm |
| UHF(日本では920 MHz帯) | 電波方式 | 約10 m(パッシブ) |
| マイクロ波(2.45 GHz) | 電波方式 | 約1 m |
電磁誘導方式では、リーダのコイルに流した電流が磁界をつくり、近づけたタグのコイルに電流が生まれます。磁界は距離が離れると急に弱くなるので、かざして使う用途に向いています。電波方式では、タグのアンテナが電波を受け取って電力に変えます。数メートル離れていても読めるので、商品の一括読み取りや倉庫の管理に使われます。
パッシブタグは自分で電波を出せません。そこで、リーダが送り続けている電波のはね返し方を変えて返事をします。ICチップの中の電気の通りやすさ(インピーダンス)を2つの状態で切りかえると、反射する電波の強さが変わります。リーダはその変化を0と1として読み取ります。これをバックスキャッタ(後方散乱)といいます。
タグが受け取る電力は、距離の2乗に反比例して小さくなります。タグが動くのに必要な電力(読み取り感度)と等しくなる距離が、読み取り距離の上限です。
λは波長、τはICチップとアンテナの整合の度合い(0〜1)です。日本のUHF帯では、構内無線局はリーダの放射電力(EIRP)が最大36 dBm(約4 W)、特定小電力無線局は27 dBm(約0.5 W)と決められています。最近のICチップは、−24 dBm(約4 μW、100万分の4ワット)ほどの電力で動きます。
この式で計算すると、構内無線局では約33 m、特定小電力では約12 mになります。ただしこれは、障害物も反射もない理想的な場合の上限です。実際には、タグの向き、周りの金属・水・人体、壁や床からの反射波の重なりで短くなり、総務省の資料では最大通信距離の目安を約10 mとしています。「電波が届く距離」で、条件を変えながら確かめてください。
かごの中の10個のタグが、リーダの呼びかけに一斉に返事をすると、電波が重なって1つも読めません。これを衝突といいます。UHF帯のRFIDの国際的な規格(EPC Gen2)では、次のような手順で読み分けます。
スロットが少なすぎると衝突ばかりになり、多すぎると空きばかりになります。N個のタグがL個のスロットから選ぶとき、1つのスロットにちょうど1個だけ入る割合は、次の式で表されます。
この効率は、スロットの数をタグの数とほぼ同じにしたときに最も高くなり、タグが多いときには約37%(1/e)に近づきます。規格では、リーダが空きや衝突の数を見ながら Q を調整できるようになっています。「読み分けのしくみ」で、Q を変えて確かめてください。
一方で、タグ1枚ごとに費用がかかります。2017年に経済産業省とコンビニ大手5社がまとめた「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」では、全商品にタグを付ける条件の1つを「タグの単価が1円以下になること」としていました。便利さと費用の両方を考えて、バーコードとRFIDは使い分けられています。